再会は、クリスマス・イヴ

サンタのクリスマス・ナイト

1

本当に雪が降ってきた。
朝の天気予報では言っていたが、信用していなかった。

雪のクリスマス・イヴだ。
街はカップルであふれている。

僕は、街角のフラワーショップへ立ち寄った。
結局、悩んだ挙句、プレゼントは花束にした。

正直、なにを贈ったら喜んでくれるのか、わからない。
なにを贈っても喜んではくれるだろう。

でも、どうせ贈るのなら、うんと喜んでもらいたい。
5年ぶりに会うのだから。


2

「あら、本当に降ってきた」
窓の外を見て、私は思わず声を出した。

誰に知らせるでもなく、ただ自然に言葉が口をついて出た。
この部屋には私以外、誰もいない。

そういえば、今日はクリスマス・イヴだ。
天気予報で、雪のクリスマス・イヴになると言っていたのを思い出した。

こうしてどこにも出かけずに、部屋でひとり過ごすクリスマスは、もう何回目だろうか。


3

そのとき、玄関のチャイムが鳴った。
誰だろう。

玄関ドアまで行き、ドアスコープから外を確認した。

そこには、花束をかかえて照れくさそうにたたずむ、私の息子がいた。
私は、あわてて鍵をあけ、ドアを大きく開いた。

5年ぶりに見る息子の顔は、今は亡き父親によく似ていた。

「母さん、メリークリスマス!」

私は、一瞬でやさしさと花束に包まれた。
あたたかい気持ちが玄関から部屋へと広がって行くようだった。

「ありがとう・・・」

息子の笑顔を見ながら、自分の声が涙でかすれているのを感じた。

【了】

 

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