睡蓮(すいれん)の物語

睡蓮201502

たしたちは、よく間違われる。
蓮(ハス)と。

わたしたちは、睡蓮(すいれん)だ。
ハスは花や葉が立ち上がって水面から上に出ているが、わたしたち睡蓮は花も葉も水面に浮かんでいる。

しかも、ハスの葉は切れ込みのない丸い葉で、水をはじくが、睡蓮は葉の形は丸いが、切れ込みがあり水をはじかないように出来ている。

なぜ、こんな作りになっているのか?
これは、わたしのひい爺さんから聞いた「ご先祖様の話」だ。

 

から、雨で池が増水すると、わたしたち水連は 必死で葉で水を受け止め、その重みに耐えた。

しかし、水に負けないように頑張れば頑張るほ ど、茎や根に負担がかかり、その損傷はひどくなるばかりで、たくさんの仲間たちが死んでいった。

わたしたちは考えた。
どうしたら水に勝つことが出来るのか。
自分たちが、どう変われば水を制圧し、犠牲を出 さずにすむのか。

茎や根を太く丈夫にするといっても、限界があ る。
増水しない池を探すなんて不可能だ。

わたしたちは、考え続けた。

るとき、仲間の睡蓮が言った。
「水に負ければいいんじゃないか?」

みんなは笑った。
「負けてどうする」
「水に屈することが、どういうことか分かってい るのか!?」

しかし、その笑いはすぐに止んだ。

「そうか、水に負けるのか!」
「水に逆らわず、水が増えたら自ら沈めばいい」
「水が引いたら、また水面に浮かべばいいんだ」
「葉が頑張らなければ、茎や根に負担をかけずに 済む」

して、自分たちがどう変わればいいのかを考え た。

葉の表面は水をはじかないようにする。
そして、葉の一部に切れ込みを入れて沈みやすく すればいい。

自分たちの子孫のために少しずつ変わっていこ う。
何代か後に、きっと水に沈みやすい葉になれるだ ろう。

こうして、睡蓮はいまの葉の形になっていったの だ。

 

、ここまでが、わたしのひい爺さんから聞いた「ご先祖様の話」だ。

この話の真偽のほどは分からないが、わたしは感じる。
ご先祖様からのメッセージを。


「よく生きる」ためには工夫が欠かせない。
そして、
合によっては頑張りすぎず力を抜くことも必要だ。

そんなご先祖様の教えが、わたしたち睡蓮の姿かたちには込められていると思うのだ。

 

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