気がつくと、体はどんどん空に向かって浮いていった。
本当に飛んでいる・・・。
水中から水上へジャンプするのにあれほど苦労したのが嘘のようだ。
飛ぶというより上空に吸い上げられていく、といった感じに近い。
「私は死んだのか?」
ふと、そんな疑問が浮かんだが、それ以上は考えるのをやめた。
この体験に比べたら、死さえもちっぽけなものに思えたからだ。
雲を突き抜け、白く輝く満月に向かってわたしの体はまっすぐに進んで行った。
どれくらい経ったのか?
いきなり、まばゆい光と、体が完全に溶けてしまうほどの高熱に包まれた。
気がつくと、眼下には白と青の世界が広がっていた。
地球だ。
しばらくその美しい光景を見ながら、浮遊した。
空を暗くし、海を汚し、島を奪い合う。
私たちが知る限りにおいても、人間は地球を私物化している。
この星が、借り物だと気がついていない。
でも、外側から見る地球は、とてつもなく美しい。
ただ、ただ、美しい。
そして、愛があふれている惑星に見える。
わたしは、もう一度戻って来れることを願いながら、地球を後にした。
地球よりもっと美しく輝く、憧れの白い白い月に向かって。
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